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あの後すぐに、タクシーを呼んで家に帰った。
辛くて、悲しくて、苦しくて、陽の側になんていれなかった。
陽の家を出て、1時間後くらいかな。
まだ辺りが明るくなる前に、陽から電話が掛かってきた。
3回目の着信で電話に出た時、わたしの名前を呼ぶ声が慌てていたから、泣きそうになった。
――……出て良かった。起きたらいないからビックリした。
どうしたの? 何かあった?
わたしに尋ねる声が優しかったから、責めそうになった。
勝手にしちゃった期待の分だけ。
陽を好きな気持ちの分だけ、苦しいよ。
本当に陽って、ひどい。
ただ好きなだけの女の子を、ここまで苦しめるんだから。
好きじゃないんだったら、優しい声なんか掛けないでよ。
どうでもいいんだったら、優しく心配なんかしないでよ。
もっともっと、苦しくなるから。
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