154人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
フロア中から一斉に送られる自分にへと集中する視線は、何度経験してもいたたまれない。
そして、その中に同情の視線だけでなく、いい気味だ、というような蔑んだ視線も混ざっている気がしてしまうのは、被害妄想だろうか。
今すぐここから出ていきたい気持ちを堪え、いすに座り直した。
こういう時、こんな風に余計なことまで考え、泣きそうになるのは、わたしの悪い癖だった。
唇を噛み締め、デスクの上の書類に視線を落とす。
真っ赤に囲まれた『契約“機関”』。
漢字を変換し間違えていた。
最初のコメントを投稿しよう!