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――佐々木さんは全力でお願いね。
そうこっそり言われて始まった、取引先の部長と部下の人、片岡さんとわたしでのダブルスの試合。
1セットずつ取って、最終セットは逆転負け。
相手チームの勝ちで幕を下ろした。
今、取引先の部長は、ご機嫌な様子で部下の人と勝負をしている。
「絶妙でしたね」
隣でペットボトルに口を付けている片岡さんに、声を掛ける。
「ん? 何が?」
「負け具合が」
「え? なんの事?
惜しかったよねぇ。絶対勝てると思ったのに」
やらしいな、この人……。
にっこりと笑顔を浮かべる片岡さんは、確実に確信犯。
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