scene.6

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――佐々木さんは全力でお願いね。  そうこっそり言われて始まった、取引先の部長と部下の人、片岡さんとわたしでのダブルスの試合。  1セットずつ取って、最終セットは逆転負け。  相手チームの勝ちで幕を下ろした。  今、取引先の部長は、ご機嫌な様子で部下の人と勝負をしている。 「絶妙でしたね」  隣でペットボトルに口を付けている片岡さんに、声を掛ける。 「ん? 何が?」 「負け具合が」 「え? なんの事? 惜しかったよねぇ。絶対勝てると思ったのに」  やらしいな、この人……。  にっこりと笑顔を浮かべる片岡さんは、確実に確信犯。
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