scene.5《2》

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「……美亜?」  陽が困ったような顔で、わたしの目の下を指でなぞる。  その時、初めて涙が頬を濡らしている事に、気付いた。 「あ……、ごめ……」  顔を背けて、手の平で涙を拭う。 「えっと……、な、なんか、気持ち良くて……感情が高ぶっちゃった」  引き攣っているであろう笑顔と一緒に出た嘘は、本当にどうしようもない嘘。  もっと他にあっただろうに。  陽が、眉を下げた顔で微笑む。 「俺も、気持ちいいよ」  熱を持っている瞼に、キスが落とされる。  唇に落とされたキスが、すぐに深くなって、わたしの頭を芯まで蕩(とろ)かす。
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