last.scene

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「ははっ、ひっでー。そういうのは、本人には言っちゃだめでしょ?」 「片岡さんにだけは言われたくないです」  そう言うと、片岡さんはぴたっと止まる。  お互い顔をじっと見て、どちらかともなく吹き出した。 「片岡さん」 「なに?」 「ありがとうございました」 「なにが?」 「わたし、ちゃんと決着つけられそうです」  片岡さんは一瞬目を見開いて、すぐに表情を和らげる。 「ふーん。そっか。良かったね」 「はい」 「まぁ、やけ酒だったら、何時まででも何日連続でも付き合ってあげるから、きっぱり振られておいで」  腕を組んで意地の悪そうな顔をした片岡さんが言ったのは、はなむけの言葉とは到底思えないひどい言葉。  だけど、わたしには十分過ぎるほどだった。  十分背中を押してもらえた。
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