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『大木先輩へ』 昨日は下校中に雨が降ってきて焦っちゃいました 鞄を頭に乗せて走って家まで帰る姿はよく考えると笑っちゃいますよね? まるで漫画みたい!そう思ったら笑いが込み上げてきました もちろん鞄で隠せるのは頭だけで制服は濡れちゃいました… 梅雨時期は天気予報を信じるのは危ないのかも 先輩にも小さな折り畳み傘を持ち歩くのをお勧めします! 「君はいったい誰なの?」 この言葉はいったい何度呟いたことか。 ノートを手にしたのは梅雨入りした頃だから、だいたい2週間前になる。 帰ろうと下駄箱を開けるとローファーの上にノートがあった。ノートを紛失したわけじゃない、じゃあ届ける相手を間違えたとかだ。 半ば無意識にページを捲ると『大木麻衣子先輩へ』と書いてあった。この学校に同姓同名はいないと思う。いたらすぐ耳に入るものだ。 だから私宛で間違いないのかな? 「…読んでもいいんだよ、ね。きっと」 そう思ってゆっくりと文字を目で追っていく。
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