第二章 内閣改造

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中華料理店に程近いビルの半地下にある創作イタリアンの店は思ったよりカジュアルな雰囲気だったが、メニューはコースは一つきりで、しかも値段が書いていなかった。 僕は喜んで料理を味わったが、秋本は普段とさして変わらず、だらしない口調で下世話かつ眉唾もののネタばかりを垂れ流すので、その素晴らしさも半減したような気がした。 出逢った時の予想よりはまともなかめんを被れるが、やはり変人には違いないのだ。 すっかり酔いも醒めた頃合いで、デザートを断ってパソコンを出した秋本を恨むのは無理からぬことだろう。 僕はごうごうと炎を燃やしている。 「まず、これを見てくれ」 パソコンに表示されたのは見覚えのある衆議院議員たちの画像だった。 正面からでなくとも顔のはっきり写った大小さまざまな画像の下には、議員の名前が連ねられている。 明らかな隠し撮りも混ざっていたが、何よりも驚いたのは選挙ポスターと実物の印象の落差だった。 日々テレビで報道される議員などほんの一握りだ。 困惑しながら画面をスクロールさせていると、秋本は笑って僕の手を止めた。 「画像データはお前のパソコンにも送ってやる。選挙ポスターなんて当てになんないもんだろ。生に近い方を参考にしてくれ。それでな・・・・・・」
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