第二章 内閣改造

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不祥事はどこでも生まれる。 そして、物忘れの酷い日本国民の性格を与党の上層部はかなり利用していると感じる。 だからこそ選挙の度に僕は怒りを覚えたり、消去法的な投票を繰り返してしまうのだ。 はっきり言って、僕はどちらの政党も支持していない。 選挙の度にマニフェストを読んで、党に拘らずひとを見て投票している。 けれどそれが準備不十分な選挙なんかでは意味がない。 野党も与党も気張っていなければ僕たちだってはっきりと争点を睨めない。 僕たちが愚かにならざるを得ない選挙なんかいらない。 J党とM党、それぞれに対して思っていることを言ってみろと言われて正直に話すと、秋本は声に出して笑った。 「ははは、言うなあ大智。しかし、物忘れの酷い国民性ねえ、真理を突いているかもな」 「かも、じゃないですよ。知らぬ、存ぜぬ、分かりませぬ、の次は記憶にございません、で通すに決まっていますから」 「芸能界だってやってるもんな。一つのスキャンダルを隠すために、もう一つストックしていたスキャンダルを出せって指示が下るんだぜ。揉み消そうとしたって、そもそも火の無いところに煙は立たないっての」 げらげらと笑っておきながら、秋本はつと真顔になって話を戻す。
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