第一章 秋本涼二という人間

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「もしもし、秋本さん、僕もう辞めたいです。こんな覗きみたいなこと」 「でも、掴んだらバイト代にボーナス上乗せだぜ」 「本当ですか? どうせほとんど自分の懐に入れてしまう癖に」 「よおし、今回はきちんとお前の前で分配する。約束だ。さあ、罪悪感があるなら早く開き直っちゃってくれたまえ。ビジネスにおいてはタイミングが肝心だからな」 「記者って貪欲ですね」 「何を言う。情報が通貨代りになる世界だぞ。金があるに越したことはない」 「金は必要ですが。だって、今までのパシリと雰囲気が違うじゃないですか。僕、警察に捕まりません?」 「ああ、面倒なやつ。とにかく続けろよ、ネタ掴んでこなきゃクビだからな」
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