第二章 内閣改造

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僕の表情を読み、秋本はぐったりと首を落として唸った。 「不倫がテーマって言ったろ。張るのは愛人のほうだ」 「愛人ですか」 生々しい響きに怯む僕を鼻で笑って、秋本は言う。 「ターゲットは紺野康介衆議院議員。妻は紺野朋子。愛人は宮坂明美。紺野はM党内で大事に大事に育てられているお坊っちゃんだ。祖父の代から政治家で今のところは不祥事も見当たらない。金についても全くのクリーン。今回の内閣改造で要職に押し上げられるのは確実だ。彼は既婚だが愛人の元へ毎週水曜日に必ず会いに行く。今まで地道にキャリアを積んできたが注目度は低かったため、不倫のネタは俺しか掴んでいない。今回はこれに賭ける! 詳細は気分の良い時に追ってメールする」 僕は素直に頷き、手を振って走り出す電車を見送った。 体調不良のための憂い顔も、秋本ならアポイント先の女性たちに上手く活用してみせるのだろう。 心配などしている暇は無かった。
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