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それぞれが自分に与えられた役割を、工夫しながら淡々と進めるのを見ると、
「こんな部下が揃っていれば、経営者の段取りが悪くても、使う方は楽やろうなぁ。」
とも思ったが、抵抗なく働いているのが奇妙で、従順過ぎる事には違和感を持たざるを得なかった。
本来、三十万くらいの月収を貰ってもおかしくない一人前の人間が、その半値で使われていても、それが普通になっていて、誰もおかしいと思わない。
今回のイベントは、半分は県の事業だが、もう半分は町の事業だ。
町の方の委託を受けた業者は県外の業者なので少し考え方が県内の業者とは違っている。
能力も年齢も違う多彩な契約社員の仕事に見合った給与を支給する為に、雇用期間を短くしたり一人一人の額を変えて支給しているらしいから、各々が満足できる程度の給料がある。その方が正当な気がするが、県が委託している県内の業者の方は、比較的長期の雇用を確保する為に一律一か月の給与を低くしていた。
公共事業がこうだから、この地方では民間も雇用を確保すれば、賃金が低くても当然の様に思っている節がある。
Uターンだとか、Ⅰターンだとかで、そんな賃金の低い所に誰が移住するのだろうか?
金に無頓着な一部の変わり者が移住するのを、持て囃してはいるけれども、そんな人数では、地方の衰退を止める事などできないのは明らかだ。
「これでは失業率は下がっても、出て行く人間が多いのは当たり前やないか。」
そんな憤りを感じずにはいられなかった。
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