都立第一大学広告研究会の陰謀

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   怒涛の撮影を終え、私は倒れこむように部活棟の裏庭に倒れこんだ。  最後の購買での撮影を思い出し、自分の右手の掌を見つめる。テイク30を合計すると、長いこと手を繋いでしまった。その手を左手でそっと触れる。  ……なんだっけ。  今、何かを思い出しそうな……。 「お疲れ」  顔を上げると田島くんが立っており、その手にはミルクティーがあった。最後の最後でなかなか気が利いている。  私は身を起こし、受け取ったそれを飲みながら確認をした。 「で、この恐ろしいPR動画はいつ配信されるの? 公式サイト? SNS? 公開前に私が確認することってできるの?」  学園祭まではあと一ヶ月を切っている。考えるだけで恐ろしいが、どこかのタイミングでこの動画が公開されるにあたって、心の準備をしておきたい。  田島くんは自分用に買っていたコーラのプルタブを開けながら、淡々と答えた。 「まだ分からん。編集スケジュール決まってないから。分かり次第連絡する」  そう言われて、今更だがメールアドレスを交換した。  
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