都立第一大学広告研究会の陰謀

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   田島くんは、コーラを飲みながら自分のスマートフォンに入った動画を見返している。  ずるい。心の準備前の準備のため、私も見たい。  私は彼のスマートフォンを奪い取ると、草むらに座り込み動画を見た。  鳥肌を立てながら、編集前の短い動画をひとつひとつ確認していく。  そして、先程の購買での撮影。相変わらず棒読みだが、こうして見ると案外うまいこと私が『彼氏』を引っ張っている雰囲気が撮れていた。 「……なんか、懐かしいな」  後ろで立って画面を覗き込んでいた田島くんが、ぼそりとそう言った。  私は振り返り、訝しげな顔をした。 「何が?」 「別に」  そう言うと、スマートフォンを取り返された。 「これから映像部に渡して、編集してもらうから。じゃあな」  田島くんはそう言い残し、部活棟へと去っていった。  
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