都立第一大学広告研究会の陰謀

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   ……何故私がファイナリストに選出されてしまったのだろう。  顔のレベルは多めに見ても中の中だ。スタイルはちんちくりんだし、自分自身目立つことも好きではない。しかしいつの間にか大々的に発表されてしまった今、辞退するのも難しくなってしまった。  夕暮れに包まれつつある構内のバス停でバスを待っていると、遠くに若菜が歩いてくるのが見えた。  腰まである、自慢の艶やかな髪を優雅になびかせている。彼女も五名残ったファイナリストの一人だ。 「おっ、さっちゃん。ミスコンの準備はどうよ」  若菜は、その綺麗な顔立ちとは似つかわしくないサバサバとした口調で言いながら私の隣に並んだ。  隣に立つと、腰の高さがまるで違う。身長は私より随分と高いのに、顔の大きさは私の半分くらいだ。私は精神的ダメージを食らった。  コンテストなど行わなくても、今ここで勝敗は決していた。 「辞めたい。辞めたい。辞めたい」 「おう、ライバルが減って私としては大助かりよ」  若菜はケラケラと笑った。別に私が本気を出しても、他の人が本気を出しても、若菜がグランプリを取るのは目に見えていた。  
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