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若菜はモデル志望だ。実際に読者モデルとして、少しずつだが女性向け雑誌に露出し始めている。元々の素材、美意識、熱意や本気度が他の人とはまるで違うのだ。
「……若菜はさ、なんでミスコンに出たの?」
若菜は自選で出場している。まあ、他薦の票も十分過ぎるほどあっただろうが。
若菜は少し悩みながら答えた。
「……まあ、有名大学のコンテストほどじゃないけど、経歴に箔が付くからね。就職でも多少アピールできるかもだし。あと……うちの大学のミスコンのジンクスって、知ってる?」
「ううん。何?」
「さっちゃんの実行委員の担当って誰だっけ」
そう聞き返され、田島春人であることを告げると大爆笑された。
「あのバカかあ。あ、私あいつと幼馴染で、たまたま学校もずっと一緒だったのよ。さっちゃんは高校から一緒だったっけ。あいつがパートナーとは、それは不安ね」
若菜の爆笑に、そこはかとなく不安を感じる。私は思わず若菜の服を引っ張った。
「なになに? 怖い。どんなジンクスなの?」
「コンテスト終わったら教えてあげる」
いつまでも笑っている若菜に、私は頬を膨らませた。
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