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警察官をやっている友達から聞いた話だ。
管轄内のバーでホステスをやっていた若い女が、自宅アパートのバスルームで死んでいるという通報を受けたというのだ。
刑事事件の範疇に入りそうなものは、後ほど上の部署に回すとして、所轄の警察官としては、とりあえず様子を見に行って状況を説明するという手順があるらしい。
早速現地に飛ぶとアパートの大家を呼び出して、その部屋を解錠してもらった。女の独り住まいだろう部屋に大家と共に入り、バスルームの扉を開けた途端、彼は絶句したという。
なんと、湯船の中に仰向けになった女はカッと目を見開き、水中にだらりと垂れ下がった手首には、真一文字の深い切り傷が見てとれたのだ。思わず仏に両手を合わせたという。
タイルの上には、飛沫いたような血の斑点をこびりつかせた果物ナイフが落ちており、恐らくは状況から見て、これを凶器とした覚悟の自殺だったと思われる。痴情怨恨のもつれなのか…
それより何より彼が戦慄したのは、湯船の状態だった。その時点で死後どれくらい過ぎたのか確定はできないものの、大家や隣近所の話によると、三日は経っているとのことだった。
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