登校の日。

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「響さん。」 「何だ?」 「わざとですよね。」 「さぁな。」 「……。」 ……嘘つき!! 私は響さんのケーキをじっと睨んだ。 ……宿敵め…。 「椿。」 「……。」 「抹茶嫌いか?」 「嫌いです!」 前に一度響さんと食べ物の好き嫌いの話をした時、私は騙された。 響さんは抹茶がダメだと言ったから、私に嫌いな卵の黄身を食べさせた仕返しとして、抹茶のチョコレートを食べさせた。 しかし、響さんは抹茶のチョコレートを平気で食べ、しかも割と好きだと言った。 ……響さんにはどうやったら仕返しが…。 「響さん。」 「何だ?」 「嫌いな食べ物は何ですか?」 「卵の黄身。」 「……。」 「拗ねるなよ。」 「拗ねてません。」 ……いじわる…。 抹茶のケーキに代わって響さんを睨む。 けど響さんは笑うだけで何とも思っていないようだった。 ……ケーキ食べて落ち着こう! 「ケーキ頂きます。」 「ああ。」 立てられているロールケーキの苺をお皿によけ、横に倒す。 フォークで一口分切り、口に入れると苺の酸味と甘味が口いっぱいに広がる。 ……やっぱり苺美味しいな…。 苺系はハズレがない。 そう思っていると、 「お前苺好きだな。」 「へ?」 響さんの突然の言葉に驚いていると、響さんが私のロールケーキに手を伸ばした。 「あっ…。」 「…上手いな。」 響さんは頬杖をつきながらそう言って、再びロールケーキに手を伸ばす。 「だ、ダメです!私の分がなくなっちゃいます!」 「俺のを食べろ。」 「敵は食べません!」 「食べ物が敵なのか…。」 そんなことをしていると、 「お姉ちゃん!」 「へ?」 声がした方を見ると、そこには桃ちゃんがいた。 「桃ちゃん。」 「お姉ちゃんとお兄ちゃんは恋人なの?」 「違う。夫婦だ。」 桃ちゃんの問いに即座に反応した響さんは、私が油断した隙にロールケーキを食べていた。 ……やられた…。 「お姉ちゃんはお姫様だから…お兄ちゃんは王子様?」 「そうなるな。」 「お兄ちゃんはお姉ちゃん好き?」 「ああ。大好きだ。」 「っ!!」 顔に一瞬にして熱が溜まる。 そんな私はお構い無しに、桃ちゃんは更に質問をしようとしている。 「じゃあね~。」 「も、桃ちゃんこれ以上はお姉ちゃん死んじゃう…。」 ……純粋な子供ってなんて恐ろしいの…。
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