500人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「お姉ちゃんはお兄ちゃん好きじゃないの?」
「へ?」
桃ちゃんからの予想外の質問に固まる。
桃ちゃんはキラキラと目を輝かせて、私を見つめていて眩しい。
響さんは無言でじーっと見つめてくる。
……うぅ。
「…好き…ですよ…。」
じわじわと顔に熱が溜まっていく。
顔を手で覆って、私は必死に顔を見られないようにする。
けれど響さんに腕を外され、呆気なく顔を見られる。
「可愛いな。」
「っ!!」
「お姉ちゃん顔真っ赤~。」
……もう…やめてください…。
その後、私は桃ちゃんの質問攻めにあい、ロールケーキは響さんに食べられ、抹茶ケーキを食べることとなった。
******
「楽しかったな。」
「……。」
……疲れた。
機嫌がもの凄く良くなった響さんは、笑みを浮かべながら車を運転している。
「……。」
「ロールケーキ買ってやったんだから許せ。」
「…恥ずかしかったんですからね。」
「悪かった。」
そう言って響さんは車をビルの地下駐車場に停めた。
「…響さん?」
響さんはさっきまでと違って、真剣な顔になった。
「話したくないなら話さなくていい…ただ。」
響さんが腕を伸ばし、そっと私を抱きしめる。
「もう…平気か?」
何のことを聞いてるのかはすぐにわかった。
だから、私は疑問に思っていたことを聞いた。
「響さんは…佳奈さんとつくしさんが…問題児だって知ってました?」
「ああ。」
「私、二人共大好きなんです…佳奈さん…今日会ったばかりなのに…凄く優しくしてくれて…。」
「……。」
「二人と…友達でも…おかしくないですよね?」
「おかしくない。」
響さんは私を抱きしめる力を強くし、私を胸へと押し当てた。
少し苦しいけど、今は心地よかった。
「二人は結構な問題児だろうが…人としてはできた奴らだからな。」
「……。」
「お前には二人みたいなのは新鮮だろ。」
「…はい。」
私が通っていた高校にも問題児はいた。
けど、佳奈さんとつくしさんレベルの人は見たことない。
「今日はまだ落ち着いてただろうが、明日からもっと凄いぞ?」
「あ、あれ以上ですか?!」
私は響さんの胸からバッと顔を上げた。
あれと言っても響さんにはわからないだろうけど、とにかく衝撃的だった。
「ああ。多分、授業は全部サボるか寝るかするな。」
「……。」
……凄い…。
最初のコメントを投稿しよう!