二人とお出掛け

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「あ、あった。」 つくしさんが空いている席を発見したらしく、ある一点に向かって歩いて行く。 席はガラス張りの所の横にあって、外の景色がよく見えた。 ……こんなに人が歩いてるんだ…。 先程まで自分が歩いていたかと思うと、ちょっと不思議だ。 「椿。」 「はい。」 視線を外の景色からつくしさんに移す。 すると頬を摘まれた。 「ふぇ?」 「……。」 「ひゅくふぃひゃん?」 「…私の方が先なのに…。」 「にゃにがでふ?」 「最近、私よりも佳奈と話したり、頼ったりしてる…。」 「……。」 ……そういえばそんな気が…。 佳奈さんのお姉さん感が凄すぎて、無意識に頼ってしまっていたかもしれない。 ……なんか美音さんもだけど…頼ってる気が…。 どうやら私は姉様やお姉さんみたいな人が好きらしい。 ……あの人のせいかな…。 昔のことを思い出し、ため息をつく。 「……。」 「……。」 ……今はそんなことを考える時じゃなかった…。 「…つくしさん…。」 「……。」 「その…私はつくしさんのこと大好きです。」 「……。」 「佳奈さんはその…何か頼れる感じがして…。」 「私は?」 「うーん…つくしさんは…楽しい?」 「どゆこと?」 「なんか…つくしさんは私を楽しませてくれて…佳奈さんはそのブレーキ役というか…。」 「……。」 「私は私の知らないことを教えてくれるつくしさんが大好きで、つくしさんの案を私に合わせて計画してくれる佳奈さんが大好きなんです。」 「…わかったようなわからないような…。」 「ごめんなさい…。」 「ううん。私のことが大好きなのは伝わったし、いいよ。」 「ありがとうございます。」 二人のどこが好きかと言われたらきっと、優しいからとしか返せない。 けど、二人のことは確かに大好きだ。 だから、これからどんどん二人の好きなところを見つけよう。 そう思い、佳奈さんが来るまで、私はつくしさんとたくさん話した。 「なんか楽しそうだね。」 「よし、食べよう。」 「……。」 ……つくしさん…見事にスルーした…。 そんなつくしさんは気にせず、佳奈さんもポテトに手を伸ばした。 ……私はチーズバーガー食べてみようかな…。 そう思って、チーズバーガーを手に取ろうとした時だった。 「松野先輩?」 「へ?」
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