二人とお出掛け

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「椿も知りたいでしょ?」 つくしさんにそう言われ、私は取り敢えず考えてみることにした。 ……気になるけど…他人の不幸を聞いてもな…二人はもの凄い気になってるみたいだけど…。 佳奈さんとつくしさんの視線が突き刺さり、私は戸惑いがありながらも聞いた。 「…どういった状況になってるんですか?」 私がそう聞くと、少しだけ私の後輩達はヒソヒソと話し、話がまとまったのか、一人の子が話し始めた。 「なんか…借金まみれになったらしくて。」 「「わぉ。」」 佳奈さんとつくしさんの声が見事にハモったその時、私は察した。 ……おじいちゃんだ…。 おそらく、響さんが言っていたのはこのことだろう。 おじいちゃんは、あの家に何かしらの形で借金を負わせたらしい。 ……確かに酷い…。 「松野先輩が結婚してちょっとの時までは、松野先輩に婚約者を盗られたとか周りに言ってたんですけど…。」 「……。」 「借金ができてから…学校でもイライラしだして…その時椿さんのことも言ったらしいんですよ。」 「何をですか?」 「「腹立つから皆に嫌われるようにした」って。」 「……。」 「それから逆に虐められるようになって…。」 「……。」 ……思ったより凄いことになってた…。 佳奈さんとつくしさんも驚いた表情をしている。 …何故か嬉しそうにも見えるけど…。 けど、私も正直嬉しい。 正確にはスッキリしたと言った方がいいかもしれないけど、私はこの話を聞いて良かったと思った。 あの家の人達を、私は許す気なんてない。 だから、別に可愛そうだなんて思わない。 ……私結構酷い正確だな…。 そんなことを思っていると、 「ねぇ、それもしかしてだけどさ。」 つくしさんが顔を顰めながら、私の方を向いた。 「霧ヶ峰に椿の家の奴ら来たりしないよね?」 「……。」 ……ありえる…。 桂木家の場所は、まぁ家が大きいからわかるかもしれないけど、あの家の人達は知らない。 けど、もし坂城の私の元担任あたりの人があの姉に霧ヶ峰に転校したことを伝えてたら…。 「…迷惑かけるかも知れません。」 「いいよ。」 「そうだよ。なんだったら真司さん召喚すればいいじゃん。」 法律に詳しい人がいるのって心強い! 「あのっ!」 「あ、はい。」 ……しまった。 私はこれから来る危機を考えて、後輩達のことを忘れてしまっていた。
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