scene.1

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「でもさ、佐藤さんって」 「ナツって呼んで」 「じゃあ、ナツちゃん。 ナツちゃん、彼氏いるでしょ? その彼氏に怒られるんじゃない?」  佐藤さんにしか聞こえないように小さめの声で言った言葉は、なかなか攻撃力があったらしく、彼女の顔は一瞬で赤く染まる。  さっきトイレの前で、他の女の子に聞かされたコレは、どうやら本当のことだったらしい。 「え、いないよー? なんでそう思うの?」  一瞬目を泳がせていた佐藤さんは、さっきと同じ笑顔に戻っていた。 「なんとなく」 「もー、なにそれー」 「佐藤さん可愛いし、他の男が放っとかないだろうと思って。 ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね」
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