scene.1

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 佐藤さんの手を、失礼じゃないようにさりげなく払って、立ち上がる。  雅樹の膝に、気付くように一万円札を乗せて、店を出た。  一歩外に出ると、生温い風が髪を揺らす。  佐藤さんの香水の匂いが今も纏わりついている気がして、早足で歩く。  女は怖いわ、本当に。彼氏いても、平気でこんなこと言えるんだから。  友達だって、平気で裏切るし。  まぁ、それにあやかる俺も大差ないけど。  渇いた笑みが漏れる。  それは、街の喧騒にすぐに掻き消された。
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