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佐藤さんの手を、失礼じゃないようにさりげなく払って、立ち上がる。
雅樹の膝に、気付くように一万円札を乗せて、店を出た。
一歩外に出ると、生温い風が髪を揺らす。
佐藤さんの香水の匂いが今も纏わりついている気がして、早足で歩く。
女は怖いわ、本当に。彼氏いても、平気でこんなこと言えるんだから。
友達だって、平気で裏切るし。
まぁ、それにあやかる俺も大差ないけど。
渇いた笑みが漏れる。
それは、街の喧騒にすぐに掻き消された。
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