170人が本棚に入れています
本棚に追加
「ううん」と円香さんが笑顔で首を振る。
少し残っていたはずのアルコールは、一気に飲んだ水のせいで、彼女の屈託のない笑顔せいで、体から消えていた。
「陽もさぁ、色んな女と遊んでないで、さっさと彼女つくってちゃんとしろよ。もう若くないんだから」
「いや、まだ若いし。つーか、別にそんな遊んでないし」
珍しく兄らしい小言を言う広斗に返すと、円香さんがくすくす笑う。
「そんな無理につくるものじゃないでしょ。陽君だって、今探してる最中なんだよね？
それに、陽君だったら、すぐにいい子見つかるよ」
「円香はいつも陽に甘いんだよなぁー」
「そら可愛い弟分ですから」
「ね？」と、俺に同意を求めてくる円香さんに、曖昧な笑顔を返す。
最初のコメントを投稿しよう！