scene.1

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 まぁ、可愛いって言われ慣れてる子達だろうし、当然っちゃー当然か。  そんな様子を横目で見ながら何杯目かのビールを飲み干した時、隣の子が顔を覗き込んできた。 「陽斗君、何飲む? ビール?」 「あ、うん」  その子……確か佐藤さんは、ワントーン高い声で店員を呼び止める。  ビールとカシスオレンジを頼んだ後、もう一度俺の顔を覗き込んだ。 「陽斗君って、お酒強いんだね?」 「いや、普通だよ。注文してくれてありがと」  上目で見つめてくる佐藤さんに笑顔を返して、冷めたポテトフライを口に入れる。  無駄に効き過ぎている塩が、ざらりと舌に残る。  ……やっぱ来るんじゃなかった。  思っていた以上に、今日は気が乗らない。  そのせいか、いつもなら気にならないことが、妙に鼻に付く。
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