scene.1

7/16
前へ
/17ページ
次へ
 例えば、佐藤さんの香水のキツさとか。  わざとらしいほどのボディタッチとか。  見せる気満々であろう胸の谷間とか。 「陽斗君って、本当に彼女いないの?」  その谷間をさらに寄せた佐藤さんが、俺の腕に手を添える。 「うん、いないよ」 「えー、なんでいないの? 陽斗君、こんなに格好良いのにー」 「知らない」 「知らないってー。 出来ないんじゃなくて、作らないんでしょ?」 「まぁー、そうかも」 「なんで作んないの?」 「面倒臭いから」  タバコの箱の中を指で探りながら、ナナメ前に視線を投げる。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

170人が本棚に入れています
本棚に追加