scene.2

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 まだ寒さの残る春の深夜。  週末だけど、大雨のせいで人の少ない繁華街。  ただ雨の音だけがする街で、ぽつんと立っていた彼女。  この時も、たぶん警笛は鳴っていた。  だけど、足は勝手に彼女の元へ向かった。 「風邪、ひいちゃうよ?」  軽く聞こえるように意識して、声を掛けた。  声が少し掠れてしまったような気がしたけど、雨の音が消してくれた。  強く雨の当たるビニール傘の下、彼女がゆっくりと顔を上げた。  胸が静かに、だけど、強く波打った。  ちゃんと彼女の顔を見るのは、久しぶりだった。  あの資料室の時以来で、もう二年も経っていた。  今にも泣きそうに歪められた顔に息を飲んだ時、彼女はゆっくりと口を開いた。 「高瀬さん、寒くて死にそうなんで、あっためて下さい」
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