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初めて円香さんに会ったのは、入学式の次の日。
部活動説明会があったその日に、入部届を職員室に持っていった時だった。
顧問は女子生徒と話していて、後ろから掛けた俺の声で、彼女が振り返った。
胸下までの長い髪がふわりと揺れて、シャンプーかなにかの柔らかい匂いがした。
――あ、もしかして、高瀬君の弟?
俺を見た彼女が言って、頷いた。
――やっぱりー! お兄ちゃんから聞いてたんだ。弟が入学するって。
ちょっと似てるね。でも、お兄ちゃんより大人っぽいかな。
そう笑った彼女は、花が咲いたような笑顔だった。
彼女と初めて交わした会話がそれだった。
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