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骨
父の幼い頃の話
父は小学生の頃はよく首里の龍潭池で遊んでいた。
小石を拾って池に投げ入れたり池の周りを友人と走り回ったりしていた。
ある日、拾った小石が珍しく真っ白だったので持って帰る事にした。
池の物は絶対に拾って来るなと色んな大人から釘を刺されている事が頭をよぎったが、それでもその石はとても美しく魅力的に思えた為ズボンのポケットに入れて誰にも言わずに帰宅した。
そこから3日間の間、父は高熱にうなされた。
治る気配が無いのを不審に思った祖母がユタ(占師や霊媒師みたいなもの)に視てもらうと、ユタは激怒しながらズボンのポケットに入っていた石を見つけ、高熱で朦朧としている父に今すぐ1人で返しに行きなさいと言った。
父は言われるがまま、ふらつきながらも池に石を返した。
帰り道の下り坂で、体調は徐々に良くなってきつつあった。時刻は夕暮れから夜に変わる頃になっていた。
通りにずらっと商品のジーシガーミ(骨壷)が陳列していた。ふと、閉まっているはずの店の2階から視線を感じた。
見上げると、古い着物を着て髪を結った女がこちらをじっと見ていた。
あ、これは人間じゃないな。
父はそう思ったそうだ。
沖縄の骨壷には結婚した女性以外は入れないから、きっとあの人は未婚のままお墓に入れず亡くなったんだろうな。
骨壷に入れない骨はどこに行くのだろう。
そんな事を考えながら後ろを振り返らずに帰ったそうな。
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