鬼になる

2/7
前へ
/7ページ
次へ
「自衛さ。俺はあいつに会ってから、そんなふうに仕事をするようになった。自分を守るためなんだ」  先輩はそう言って小さく笑った。 それが何時のことだったかは僕はもう覚えていない。 入社して一年立たないくらいの、なんてことのない普通の飲み会の帰り道かなにかだったと思う。 その時は僕と先輩は業務上の接点は無く、ただ同じ部署にいてたまに話しをするくらいの間柄だった。  雑談なんて普段は聞いて次の日には忘れるくらいの記憶力の僕だが、その時の話はなぜだかよく覚えていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加