10人が本棚に入れています
本棚に追加
2
「いらっしゃいませ!」
店員の挨拶に軽く会釈で応えると、ペットボトルのお茶と水、サンドイッチ、おにぎりを手に取り、レジへと向かう。
「おはようございます」
いつものレジの女の子。年は自分と同じ20代半ばだと思うが、本人に聞いたことはない。
「なんだか疲れてますね? 大丈夫ですか?」
「……えっ? そうかな?」
不意に聞かれて驚いた。
「……まぁ、寝不足かな? ほら、すぐ近くの工事現場の音で毎朝起こされているから」
「へぇー、そんな大きな音してましたか?」
「――うん。まったくいい加減にしてほしいよ」
レジの間のわずかな会話もいつもの日課だった。
コンビニショップ『フラワー』
聞いたこともないコンビニだが、隆行は毎日通っている。通勤と帰宅の途中に必ず立ち寄り、食べ物や飲み物を調達するのだ。
最近はここでしか買い物をしていない。自分の体はすべて『フラワー』で買ったもので出来ているようだ。
(だいぶ涼しくなってきたから帰りにはおでんを買って帰ろう。うまそうだ……)
レジ脇のおでんに後ろ髪を引かれつつ『フラワー』を出ると、歩いて2、3分で職場に着く。買い物をしても、家を出てから15分も経っていない。職場が近いというのは、本当にありがたい。
最初のコメントを投稿しよう!