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     またあの音が聞こえてきた。  頭に響く工事の音が。  基礎工事の杭打ち機の音だろうか。  一定のリズムで巨大な鉄の杭が地面に打ち付けられるあの音。 (……ここのところ毎朝だ。まったく頭にくる……)  近所の工事現場から響くその音で、目を覚ますのはこれで何日目だろうか。  何の工事なのかは知らない。  この街に引っ越して来た時には、すでに工事中だったように思う。  よく覚えていない。  頭から布団をかぶっても、逃れられない。  風間隆行(かざまたかゆき)は、その音が頭の中心から響いているような錯覚を振り払い、ベッドから起きあがった。
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