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「いらっしゃいませ!」  店員の挨拶に軽く会釈で応えると、ペットボトルのお茶と水、サンドイッチ、おにぎりを手に取り、レジへと向かう。 「おはようございます」  いつものレジの女の子。年は自分と同じ20代半ばだと思うが、本人に聞いたことはない。 「なんだか疲れてますね? 大丈夫ですか?」 「……えっ? そうかな?」  不意に聞かれて驚いた。 「……まぁ、寝不足かな? ほら、すぐ近くの工事現場の音で毎朝起こされているから」 「へぇー、そんな大きな音してましたか?」 「――うん。まったくいい加減にしてほしいよ」  レジの間のわずかな会話もいつもの日課だった。  コンビニショップ『フラワー』  聞いたこともないコンビニだが、隆行は毎日通っている。通勤と帰宅の途中に必ず立ち寄り、食べ物や飲み物を調達するのだ。  最近はここでしか買い物をしていない。自分の体はすべて『フラワー』で買ったもので出来ているようだ。 (だいぶ涼しくなってきたから帰りにはおでんを買って帰ろう。うまそうだ……)  レジ脇のおでんに後ろ髪を引かれつつ『フラワー』を出ると、歩いて2、3分で職場に着く。買い物をしても、家を出てから15分も経っていない。職場が近いというのは、本当にありがたい。
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