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「周りが霧でよく見えない。小嶋の方はどちらでしょうか」
すると僧は、「あちらだ」と指を指す。その時大吉はゾッとした。僧の手は、白骨化していた。
「うわああああっ」
大吉は方向もわからず走り出した。すると、前方から足音がする。しかし、今度は見覚えがあった。柳の下にいた女である。
大吉は真っ青になって固まった。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と唱え、目を固く瞑る。サッサッと足音はどんどんと近づいてくる。ああ、もうだめだ。ついにその足音が真横まで来た。
ところがふっと、足音は途切れた。恐る恐る目を開くと、霧は晴れている。
しかし、大吉の足はガクガクと震え出した。そこは一面骸骨で埋め尽くされ、大吉はその真ん中に立っていたのだ。
へなへなと座り込む。その首周りに、ひんやりと何かがまとわりついた。耳に吐息がかかり、女の笑い声がした。
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