中二病の些細な好奇心

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「美人のお姉さんとやらを拝みに行くんだよ」  僕がそう答えると、「ああなる」と合点がいったように永井は声をあげた。 僕が、岡本の様子を見に行ったところで事態は変化しないかもしれない、しかし何故かいてもたってもいられないような悪い予感が僕を支配する。 どうも僕は傷ついた猫や犬などはあまり放っておけないタイプであり、世話焼きなのかもしれない。 さっそく、僕は教師の元へ行った。届け物があれば、僕が渡しに行くと。教師は何の疑問も抱かず岡本の住所を教えてくれた。 放課後、スマホ片手に教えてくれた住所を元に岡本の自宅へ向かって歩く、遠い。 普段僕の生活範囲は狭い、まさか裏山まで入らなくてはいけないとは思いもしなかった。人気もなく、狭い道、いや道というのもおごがましい、ただ歩くスペースがなんとかある草むらだ、ところ狭しに生えそろった植物の棘に身体が傷つけられる。 ああ、こんなことなら長袖でも着ていれば良かったなんて恨み言を吐きながらも道なき道を薄暗い中掻き分ける、大丈夫、目標は忘れていない。 突如匂いが急にキツくなる、腐敗臭、刺々しい腐敗臭、山の中だから何か不法投棄でもされているのだろう、鼻を押さえながらも、いつのまにか目の前にも現れた一面棘を掻き分けながら痛みを伴いながらなんとか進む。 目の前にぱぁっと光が満ちた、植物を掻き分けてそのまま前に進むと明るい景色が広がった。 赤い屋根に白い壁、漫画によくありそうな色合いの家が建っていてその周囲には色とりどりの花、先程までの棘だらけの風景と全く違う爽やかな空気を感じている。 「こんなとこに家があったんだ」 ばしゃっ 「わっ」 僕が驚いていると、突然顔に冷たい水がかかった。一瞬のことで何がなんだかわからないが冷たさだけは伝わる。服にもかかったのだろう、布がピタリと身体に張り付く不快な感覚がする。雨水でも落ちてきたのかついていないだなんて思い、目を開ける 「…ごめん」 怒りよりも驚きが勝った。俺がここまで来た目標である岡本が立っていた。彼が右手に持つホースで僕は察した。よく周りを見回すと花だらけ、恐らく岡本は花たちに水をやっていたのだろう。 「花に水をやっていると、俺が現れたってわけだ」 岡本は僕の言葉にコクリと頷いた。確かに、こんな所から人が現れるだなんて思わないだろう、注意しろという方が難しい。 「これで、身体、拭いて」 岡本は、タオルを僕に手渡してきたので遠慮なくそれを頂きガシガシと頭を拭いた。
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