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「退屈しのぎになってくれるんなら、たとえ団長のケツだって喜んで掘ってやるよ」
言ってやったら、「やっぱりか」と、もう何度目かもわからないタメ息を、これみよがしに深々とワーズが吐き出す。
「さすがに最後まではヤっちゃいないよね? という、僕の心底からの希望的観測を返せ」
「知るか、そんなことまで」
「ああ、もう……今度から団長を見かけるたび、これがセルマに掘られた男、とか思っちゃうじゃん……」
「好きに思えよ。――そりゃーもう、ずっこんばっこん、ガッツリ掘らせていただきましたとも」
「聞きたくもないし!」
再びツッコミ裏手パンチを繰り出してきたその手で、ワーズが自分の額を覆うや、もうヤダ…などと小声で呟きながら天井を振り仰ぐ。――オーバーだな、やることが。
「何が悲しくて男同士のずっこんばっこんとか、聞かなけりゃならないの……!」
「なんだよ、自分から話振ってきたくせに」
「うるさいよ、諸悪の根源」
「あ、でも、誤解すんなよ? 別に俺、団長の身体になんざ、コレッポッチさえもハマっちゃいねーから。ただの性欲処理に使ってやっただけで……」
「聞いてないよ、そんなことまで!」
ああもうセルマがいぢめるー…と、終いにはくの字に身体を折り曲げて頭を抱え込んでしまったワーズの背を、よしよしとばかりに、俺は軽くさすってやった。
「長い人生、そりゃ色々とあるよなあ……」
「そんな他人事みたいに……」
恨みがましくこちらを向いた彼は、もはや涙目で、唇を軽く尖らせてみせた。
「そうでなくても、君みたいな美形は厄介事を引き寄せやすいっていうのに……これ以上、自分から増やしてどーすんのさ?」
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