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「あー……なんだ、本当にすまなかったな最中に」
やおら、その表情が軽く歪み、ふっとした笑いが洩れる。
その視線の先にあるものは、当然、既にガッツリ立ち上がっていた俺のムスコである。
そこまで見られてしまってるうえで、今さらアワ食って隠しても意味が無い。
ようやく硬直から解けた俺は、「本当ですよ」と、殊更に艶然と微笑んでみせた。――立ち上がったそれに手を添えて、わざわざ扱いて見せながら。
「もうちょっとだったのに……どうしてくれるんです、これ?」
わざと「あふん」なんていう甘い吐息を洩らしてみせながら、更に脚を大きく開いて、既に先端がぬらぬらと濡れているその昂りを見せつける。
「副団長に、これ何とかして欲しいなァ……」
物欲しげな舌舐めずりを、ゆっくりと。――俺がここまで誘えば、落ちない男など、これまで一人として居なかった。
――さて、どう出るのかな……?
今までの男どもと同様、喜んで俺に手を出してくるか。それとも、嫌悪を浮かべて拒絶して、今度は俺が処分されることになるのか―――。
しかし、そのどちらも副団長は選ばなかった。
「すまないが、こんな場所でそういう行為に及べるほど、まだそこまで飢えてなくてな」
だから自分で何とかしてくれ、と、笑みの形に歪められた唇が、淡々と言葉を紡ぐ。
「おまえが達するまで、ここで見守っていてあげるくらいのことなら、してやるぞ」
「――趣っ味、悪ィ……!」
咄嗟に洩れてしまったその言葉は、およそ副団長なんていう雲の上の上官に向けられていいものなんかでは、決してなかったけれど。
それでも言われた側の副団長は、気に掛けることも無い様子で、軽く「よく言われる」なんてことまで、しゃーしゃーと返してくれやがった。
「それも、主におまえのような、そういう変態じみた行為が大好きだという輩から特に、な」
「…言ってくれるね」
からかうように、嘲るかのように、告げられたそれを、俺は挑発と受け取った。
――売られたケンカは、当然、買ってやらなきゃならないよなァ?
見てやがれ。こんなにもお色気満載の俺に発情して『突っ込ませてください』って泣き付いてくればいい。そうしてきたところで思いっきり袖にしてやるから!
そんな不遜なことを頭では考えながら、しかし顔には出さず、ただ誘うように微笑んでやる。
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