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「副団長こそ……男なら、自分でこういうことしたり、するでしょう?」
「まあ、そうだな」
「それが、『変態じみた行為』?」
「少なくとも私は、こんな屋外ではしないぞ」
「どこだって同じでしょ」
それを扱いているうちに、だんだん感じてきて、気持ちよくなってきて、喋る俺の息使いも荒くなる。
「屋外だろうが、屋内だろうが……誰かに見られたり聞かれたりする可能性がある、ってことには、何も変わらない」
自分の手の動きが、無意識のうちに早まり、だんだんと激しくなる。
「だったら、どこでしようと一緒。気持ちよくなりたい時に、気持ちいいことしないと損。俺、我慢はしない主義なの。だから、俺に我慢なんてさせてくれない男がスキ。気持ちよくさせてくれる男なら、もっとスキ」
「――さすが、言うことまで『魔性』だな。エイス・セルマ」
ふいに自分の名前を呼ばれて、一瞬だけ目を瞠る。
しかし、次の瞬間には、もう俺の口許はニヤリとした不敵な笑みを湛えていた。
「やっだァ、副団長ったら、俺のこと知ってたんだー?」
「おまえは目立つからな。しかも今、最も熱い噂の渦中に居ることだし」
「なァんだ……じゃあ、今さら取り繕ったところで無駄か」
おもむろに手を止めると、上目遣いで目の前の相手を見上げる。
俺の噂まで知られているなら話は早い。こんな小芝居じみた自慰なんざ、もはや面倒だ。
「アンタも、噂の『魔性の男』とやらに突っ込みたいクチ? それとも、突っ込まれたい側?」
今ならどっちの相手になってもいいよと、まさに蕩けるような笑顔を向けてやる。
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