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件の『ご褒美』発言には、さすがの俺でも絶句した。
即座に頭の中が真っ白になっていて、言われた言葉を理解するのに、たっぷり数秒を有してしまった。
『なら付いてこい』
『私が欲しいのなら、さっさとデカくなってるそれを何とかしろ』
『ちゃんと収めて服の中に仕舞うことが出来たら、ご褒美くらいはくれてやるぞ』
言われた言葉を、ご丁寧に何度も何度も頭の中で反芻して。
――つまり、『サッサと一発抜いてムスコを普通の状態にして服の乱れも直してから自分に付いてくれば、ご褒美をあげるよ、だってオマエは私が欲しいんだろう?』なんてことを、言われちゃったワケか……? この、俺が……?
理解した途端、俺の怒り度数が一瞬にして高騰し、最高値を超えて振り切れた。
――なんだ、その上から目線……!
よりにもよって『ご褒美』とか! 何だその『ご褒美』とか! 丸っきりガキ扱いじゃねーか!
――つか、俺が『欲しい』って言ったのを本気に取ったとか?
本気で言うハズも無いだろうが、あんなもん! ただの社交辞令だバーカバーカ!
そして、何よりも……、
――この俺様がチンコ扱いてまで誘ってやった、っつーのに……落ちないとか、どこの馬鹿か!! 絶対に有り得ないしっ!!
ありとあらゆることが、もうムカついてムカついて仕方なくて。
とはいえ、まがりなりにも雲の上の上官を相手にしては、怒りに任せて暴言を吐き散らかすような真似は出来ない、という理性もちゃんと残っていて。
ぎりぎりと奥歯を噛みしめながらも、おもむろに落としたズボンを引きずりあげた。
無言でカチャカチャとベルトを止める俺に、まさにからかうような声音でもって投げかけられた声。
『――要らないのか? ご褒美は』
『要らねェーよっっ!!』
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