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そうして副団長の執務室を辞した後、その扉を閉めるや俺は、がっくりとその場でヘタり込んだ。
――やばい……なんか色々なものを持ってかれた気がする……。
色々ありすぎて頭の中パンパンで、そのことだけで思考の容量が一杯一杯になっていて、既に俺はものすごく疲れきっていた。
この状態で、これから朝までに反省文三十枚書けとか……拷問すぎる。
でも書かなきゃ減俸食らうしなあ…と、諦めて俺はようやく立ち上がると、よろよろと宿舎に帰るべく歩き出したのだった。
面と向かって何も言えはしなかったけど……多分、もう俺は副団長から逃げられないんだろうな、という予感だけは、ぼんやりとながら自分の中にあった。
きっと俺は、その思惑どおり、あの男に惹かれてしまうのかもしれない。――そう遠くないうちに。
とりあえず、一つだけ、これは確実に言えるだろう。
少なくとも俺は、それを決して嫌がってはいなかったのだ、ということなら―――。
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