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「そうそう、出しゃばらなくなったわよね」
「思い返すと子役の頃って芸の細かさがすごかったのよね彼女。今はそのころのよさが戻って来た感じね」
刻み付けた説教を代償に行った性格改変が功をそうしたことで女優安野乗木は一皮むけていた。
あのままゴリ押ししか取り柄がないままだったら、落ちぶれた子役崩れの一人に彼女はなっていたであろう。
テレビでの活躍が次第にネット上での悪評もかき消していく。その様子に読子は上手くいったなとほほ笑む。
「ここ一年くらい心配していたけれど、うまくわたしのところに来てくれて助かったわ。一時期干されたあたりから危惧していた通りの問題だったし無事に矯正できて」
子役安野乗木のファンだった一人の女性は女優への変貌を嬉しく思いながらテレビ越しの彼女を眺める。
どういう訳か妙に気に入っていた子役、それが道を踏み外しそうになっていた姿を正せたことに読子は身勝手ながら満足感を得て微笑んでいた。
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