本屋さんと子役あがり

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「全部が全部アナタが悪いなんてわたしも言わないわよ。でもね、ドツボにハマって抜け出せないのは確実にアナタの問題よ」 「アナタも私に責任を押し付けるのね」 「いい加減にしなさい!」  読子は軽く乗木の頬を叩いた。痛みで少し冷静になった乗木は泣き出して、その姿には学校内でも浮いた存在である芸能人安野乗木の面影はない。いるのは我儘を叱られたとも、やりきれない仕事に潰れそうになって癇癪を起したとも言える一人の少女だけ。 「辛く当たってごめんなさい。でもここまで強引にやらないとアナタのその性格は治せないわよ」 「ひっく」 「本当なら根気よく丁寧にトリート(言葉)で解決するべきだけれど、それに免じてあなたの望み通りにトリック(魔女の力)を使ってあげるわ。今日の事は忘れてしまうでしょうけれど、今日のことがどれだけ響いたか。それでアナタの今後は左右されるから」  泣きじゃくる乗木のおでこに手を当てると、読子は魔女の力を発動させた。  それからしばらくの時がながれるとノガミ大学から「お嬢様」は姿を消していた。芸能人であり生徒である安野乗木は居るが、今の彼女を「お嬢様」と腫物扱いする人はもういない。 「安野さんって変わったよな。前はテレビでもゴリ押しされて、学校に来てもどうだ凄いだろと肩肘張っていたのに」     
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