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「…また来年、コスモスが咲く季節になったら、ここに来ることにしましょう」
そう言って、晋也が遥香へと帰ることを促した。遥香は晋也を見上げて、ゆっくりと頷く。それを見て、晋也は安心したように表情を緩めると、遥香の背中を押してゆっくりと歩き出した。
そのとき、遥香が名残を惜しむように、振り返った。晋也も一緒に振り返って、その場所を見遣ると――、コスモスの花々が風に揺れる中で、微笑んでいる尚人の姿が見えたような気がした。
― 完 ―
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