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「何を言ってるの? あなたとは結婚しないわよ。あなたとは恋人でいたいけど、夫婦になりたくはないの。私はあなたに恋していたいの」
男は佳也子の言葉が理解出来なかった。自分のことを好きだと言い、何度も肌を重ねるくせに結婚はしたくないなんて。
男はさらに悩んで、佳也子に別れを告げた。婚約者をこれ以上裏切りたくはないと。
佳也子は泣いて、訴えた。
「何で分かってくれないの? こんなにもあなたを好きなのに」
男は泣く佳也子を抱き締めたくなったが、堪えて背中を向けた。
佳也子はこの出来事をきっかけに夫以外の男に恋することをやめるかと思ったが、違った。
「恋していないと不安なの」
ある意味病気かもしれない。
佳也子はこの後も何人かの男に恋して、抱かれた。でも、どんなに恋して抱かれようとも夫への愛は変わらなかった。
男性として好きではなくても、家族として大切な人だった。だから、夫にもちゃんと抱かれていた。
夫を失わないために夫婦生活は必要なものだった。
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