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彼女
連れ立って、現れた俺たちを。
「さあ、飲むぞっ。」
ご機嫌な先生と、複雑な表情をした、徹さんが、迎えた。
そうして、始まった、会は。
単に、飲みたかっただけ、じゃないのか。
そう、疑いたくなるほど。
皆、饒舌で。
先生、かなり飲んでるなあ。
大丈夫、なのか?。
そんなに、酒、強くないよな。
そう思っていたら・・・。
どこから、そんな話になったのか。
「川瀬は、モテるからな。
すぐ、彼女も、できるだろ。
まあ、気にするな。」
俺に、ビールを、注ぎながら。
そんなことを、急に言い出した。
「モテません。」
そんな。
美味しい思いを、したことは、ありませんっ。
「お前が、気がついてない、だけだろ。
なあ、徹。」
「そう、だろうな。」
徹さん、まで。
「そうでしょうか?。」
「和樹も、そう、思うだろ。」
「まあ、な。」
先生の問いかけに。
嫌そうに、和樹が同意した。
和樹。
その感じ、微妙だぞ。
「佳代のこと。
まだ、ひきずってるのか。」
うわー、この人。
この話、まだ、続ける気?。
別れたばっかりだって、言ってるのに。
優しさってもんが、ないのか。
「そう、ですね。
しばらく、いいかな。」
俺は、諦めて、正直に伝えた。
3年間。
これだけ長く、付き合っていた、彼女はいない。
まあ。
今まで、付き合ったのは、佳代を入れて、3人。
むなしい・・・。
「えらいな。
川瀬は。」
先生は、そう言うと。
俺の頭を、向かいから、ぽんぽん、叩いた。
すると、俺の横から、長い手が伸びてきて・・・。
「親父。
やめろっ。」
和樹は。
俺の頭を触っている、先生の手を、払った。
そして、俺の髪型を直すかのように。
俺の頭を、1回、撫でた。
「あ、ありがとう。」
一方の、先生は・・・。
「和樹とは、大違いだな。」
応戦に、転じた。
「親父っ。」
次の、標的は、和樹だった。
「こいつ、さあ。
合格したと思ったら、急に、彼女作って。
おまけに、すぐに別れての、繰り返し。
かなりの人数と、付き合ったよな。」
「へえ・・・。」
そんなやつには、見えないけど。
元教師の、贔屓目かなあ。
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