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告白
「違う。
俺はっ。」
「痛いっ。」
突然、両肩を、強い力で捕まれた。
「悪いっ。」
顔をしかめた俺をみて。
和樹は、そっと、力を弱める。
そして、そのまま。
痛いの、痛いの、飛んでけー。
みたいに。
その場所を、撫でている。
ムズムズ。
俺は、こそばゆさに、体をよじる。
その、力ない、抵抗に。
和樹の手が、ゆっくりと、離れていく。
「俺は。
雄大と、一緒にいたかった。
いろんな、ところに、行くつもりだった。
合格して。
やっと、そう言えるって。
それなのに。」
そんな、辛そうな顔、すんなよ。
「佳代と、付き合うって。
そう思ってたのは、俺だけだった。」
何だか、いじめたようで。
和樹が、小さい子どものように、見えた。
「友達と、彼女は違うだろ。」
そんなことで。
切り捨てられたって。
俺は、ショックを受けてたのか?
「あの後。
雄大と会わなくなってから。
いろんなやつと、付き合った。」
さっきの話、本当だったのか。
「でも、何か違った。」
「何が?。」
「雄大といるほうが、楽しかった。」
えー。
何か、違わないか。
あっ、そうかっ。
「お前はさあ。
受験っていう時に、俺と一緒にいたから。
勘違いしてる、だけだろ。
「つり橋効果って、言いたいのか。」
「そう。
それっ。」
さすが、和樹。
言わなくでも、すぐに、分かる。
「違う。」
和樹は、低い声で。
そう、反論した。
「そうだって。
今は、久しぶりに会ってさ。
そう思ったのかも、知れないけど。
よく、考えてみろ。」
何せ。
会ったのは、3年ぶり、だからな。
彼女と、長続きしないのは。
俺のせい、のはずがない。
「絶対に、違う。」
「だ、か、ら。
今じゃなく、よく考えろ。
いつでも、話を聞くから。」
和樹は、不機嫌な顔になる。
俺だって、困ってるんだ。
「絶対だな。
話、聞けよ。」
「分かったから。」
これで。
いいん、だよな?
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