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「ん?
前にさ。
飯の時に、スマホしてて。
すげえ、徹さんに叱られた。」
和樹は、その時のことを、思い出したのか。
頭をかきながら、話を続けた。
「それから、かなあ。」
おおっ。
さすが、徹さん効果。
「まじで、さ。
やばかった。」
「何が?。」
「いきなり、掴み取って。
壊されるところ、だった。」
おおっ。
「親父は、放り投げられた、らしい。」
「怖っ。」
「だろ?」
俺たちは、その姿を想像して、笑い合った。
「で、何が食いたい。」
「うーん。
ファミレス、でいいかな。」
お祝い、なのに?。
「お前さ。
夢がないな。」
「その代わり、さ。
夕方まで、付き合え。」
こいつ。
完全に、調子に、のってるな。
「いいけど。
こんな、おじさんと一緒にいてさ。
楽しいか。」
おじさん。
うーん。
自分で言うと、一層、複雑な響き。
「ああ。
楽しい。」
そんな、力強く、言われても。
まあ。
それなら、いいけどさ。
「じゃあ、特別に。
パフェを、つけてやろう。」
「いらねー。」
「ドーナツでも、いいぞ。」
「徹さんに、叱られるぞ。」
徹さんの、自信作。
何年たっても、あの味に勝る、ドーナツには、出会えない。
何だろう。
ずっと、一緒にいた。そう、仲間のようで。
すごく、楽しい。
3年間、会わなかったことが、嘘のようだった。
「ドーナツが食いたいなら、さ。
頼んでやるよ。」
「まじかっ。」
「次に会った時に、持ってきてる。
メール、するから。」
気づけば。
また、和樹と、出かけることに、なっていた。
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