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神無月
ブーブー。
鞄の中に入れたスマホが、音をたてる。
この時間なら、和樹だな。
俺は、思わず笑みを浮かべてしまい。
さりげなく、周りを、確認する。
すぐに、スマホを見たい衝動を抑え。
俺は、昼休みまでの、残り時間を確認した。
和樹は、ラインをしていない。
だから、連絡は、全て、メールでくる。
「サークルで、困らないか。」
そう聞いたことがある。
「別に。
用事があれば、メールがあるし。
つながってる必要、あるか?」
俺も、ラインはしていない。
理由は、和樹と同じ。
だから、気が合うのだろうか。
「日曜日、付き合え。」
あの日、和樹と再会してから。
俺たちは、週末に、出かけるようになっていた。
何、着てくかな。
すでに、銀杏が落ちる季節になっていた。
くだらない話をして、
お茶をして。
食事して。
何かそれが、すごく楽しい。
ん?。
締めのホテルがないだけで。
佳代と、付き合っていたころと、同じ?。
俺は、土日にも、仕事がある。
知事参加の行事があれば、俺たち秘書が、同行するからだ。
それ以外でも、闇の出勤
残務整理がある。
闇。
つまり、休日手当は、でないけど
だから。
次に、いつ遊びに行くか。
その、約束をすることが、できない。
一方の、和樹は。
毎週土曜日。
たまに日曜日に、サークルがある。
休んでもいい、などど。
とんでもないことを、言って、叱ったこともある。
「雄大の、予定のほうが大事。」
そう言われて、嬉しくないはずが、ない。
俺が、彼女、なら。
優先してくれたら、きっと、嬉しい。
雄大の彼女は、きっと、幸せだろう。
そう考えると。
ちょっと、もやもやして気持ちになる。
彼女優先になって、遊べなくなら。
きっと、そういうことだろう。
和樹からの連絡は、大抵、金曜日。
メールがくると・・・。
俺は、必死で仕事を、かたずける。
佳代と、付き合いだした頃、のように。
断りのメールを入れる時は、気が重い。
面倒くさいやつ、と思われそうで。
「また、メールする。」
すぐに返信される、その文面が。
何よりうれしかった。
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