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発覚
「お前が、今、思ったこと。
それが答えだ。」
女子高生と聞いて。
もやもやしている、この気持ちが?。
「あいつ、最近おかしいんだよ。
週末は、ご綺麗な格好をして、出かけてたのに。
最近は、家にいるし。」
うわっ。
「おまけに。
最近。
何か、いらついてる感じで。」
両肘をつき、組んだ手の上に顎を乗せ。
先生は、まっすぐと、俺をみつめた。
「あいつと、出かけてたの。
お前だな。」
ばれた。
俺の鼓動が、早くなる。
「何で・・・。」
「ん?。
川瀬も、同じ頃から、ノリが悪くなった。
何だか、よそよそしい感じで。」
俺は、無意識に背筋を伸ばす。
「それで、大体、分かるだろ?。」
「そしたら、何か。
徹まで、おかしくなって。」
何で、徹さんは。
「あいつ、分かってたんだろうな。
和樹の気持ち。
問い詰めたら、さ。
知ってたって。
まあ、それは、責任とらせたけど。」
一瞬、先生の顔に、笑みが浮かぶ。
怖っ。
「すいません。
徹さんにまで、迷惑をかけて。」
黙りこんだ俺をみて。
先生は、自分の頭を、がしがし、と掻いた。
「悪い。
お前を追い詰めるつもりは、なかったんだ。
徹にも。
口をはさむなって、言われたしな。」
「今考えれば、おかしかったんだよ。
選挙も手伝わなかったあいつが、さ。
俺の就任祝いに参加してるし。」
先生は、苦笑いを浮かべた。
「当日、来れないって。
お前が、連絡をしてきた時は。
何か、あったのかって、俺に詰め寄って。」
それは、4月の出来事。
「そもそも。
佳代と、別れたって、話を。
周りから、聞き出したのも。
あいつだったしな。」
知らなかった。
「お前の、祝いの席にも。
バイト休んでまで、参加してたしな。」
和樹と3年ぶりに再開した、あの日。
全てが、繋がっていく。
「俺が、悪いんです。」
俯いて。
そう告げた俺の頭を、先生が、ぽんぽんと叩く。
「違うだろ、川瀬。」
俺は、そっと顔をあげた。
「俺は、お前を理解してるつもりだ。
性格を知った上で。
息子の、家庭教師も、まかせた。」
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