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知らなかった。
「お前を、追い詰めたのは。
あいつだな。」
本当に、そうなんだろうか。
「あいつに、好きだって言われて。
お前、気持ち悪かったか。」
「えっ。そんなことは、ありません。」
言われて、気がついた。
確かに、不思議と。
そんな気持ちには、ならなかった。
ただ、どうすれば、いいか。
どうしたら、いいか。
分からない。
「本音を言うと、複雑なところだ。」
一瞬の間をおいて、先生は続けた。
「でも、徹と話し合って、な。
あいつが納得するまで。
口をはさまないことに、決めた。」
「先生。」
「だから、川瀬。
俺たちのことは、気にせず。
あいつのことだけ、考えてくれ。」
そう言うと、この密会の終わりを告げた。
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