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思案
和樹のことだけ、か。
簡単に夕食をすませ、ベットに寝ころびながら、天井を見上げる。
自然と、意識は、和樹へと向かう
相手に合わせる、必要もなく。
素のまま、付き合えて。
無理を、しなくていい。
一緒にいるのは、心地よくて。
話すことがなくても。
そばにいるだけで、安心できて。
でも。
あいつは、先生の息子で。
俺も和樹も、男で。
でも。
一緒にいたくて。
仕事でごまかしても、すごく寂しくて。
会いたくて。
すごく、和樹に会いたくて。
「私のこと、何だと思ってるの。」
佳代に言われた、最後の言葉。
会って。
食って。
寝て。
あの頃は、ただ、それだけだった。
こんな気持ちに。
こんなに、悩むことは、なかった。
俺は、どうしたらいいのか、分からない。
あいつが、男だから、駄目、なのか。
和樹、でも、駄目なのか。
「雄大、お前の事が好きだ。」
繰り返される、言葉。
「俺は、ずっとお前が好きだった。
高校生の、時から。
これからも。
だから。
お前以外、誰もいらない。」
「あいつのことだけ、考えてくれ。」
和樹のこと、だけ。
寂しい。
会いたい。
俺は、スマホを探すため、ゆっくりと、起き上がった。
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